日吉屋は江戸時代後期、傘店の創業から始まり、今では京都で唯一残る和傘を製造する企業です。明治維新まで主流だった和傘は、洋傘に代わり傘の使い捨て文化の定着で需要は激減。2004年、同社の年商は100万円台となり、西堀社長が奥さまの家業を承継することになりました。
西堀社長は事業承継にあたり、「おもしろさ」つまり「ユニーク」を活かしたブランドの構築を目指します。和傘照明が京都リッツカールトンに採用されたり、建築家の隈研吾氏とのコラボレーションなどが話題を呼び、同社の製品は数々のデザイン賞を受賞。和傘の照明は売上の6割を占めるまでになりました。
業績回復には、「照明が伝統工芸品からうまれたというストーリー」いわゆる情緒的価値がブランドの価値として醸成されていること。特異性や独創性の観点から差別化されていることが背景にあります。また欧米の感性が高い層には、伝統工芸の価値を現代のマーケットに合った形に進化させることで、グローバルニッチ市場への進出も果たしています。
伝統工芸品に限らず「差別化できる技術×顧客に伝わるプロモーション×新しいことを取り入れる柔軟性」で事業を存続させることは可能だと話す西堀社長。従来のビジネスモデルの中で、時代にそぐわない部分に目を向け、現代のニーズにマッチさせる重要性を学ぶ勉強会となりました。