今回のテーマは、沖縄県の琉球びんがたを事例に、伝統工芸の知財を活用した新たな稼ぎ方についてです。陶器、磁器、漆器、布、染物などには、琉球びんがた職人が魂を注ぎ込んで作り続けてきた長い歴史があります。
近年、これらの文化や技術が姿を消しつつあること。また作り手である職人へ、報酬として還元されていなかった課題に目を向け、現在取り組まれている事業について紹介いただきました。
日用品から高級呉服まで幅広く使われている琉球びんがた柄ですが、「デザインアーカイブが存在しない」「デザインライセンス時の契約書がない」といった課題が産業全体の存続を脅かしていました。価値あるデザインが様々なブランドや製品に使用されているにも関わらず、産みの親である職人にロイヤリティは支払われない。
ビハナコンサルティングはこういった課題に対し、海外ブランドマリメッコからライセンス契約の指導を受け、知財弁護士が作成したライセンス運営を行うことでデザインのNFT化(※1)を進めています。
職人のデザインを著作物としてライセンス運営を行うことで、文化を守るだけではなく、産業も職人も技術も次の時代に継承し続ける同社の事業。
日本で「あたりまえ」とされていた文化や技術を活用し、新たな事業価値を創造するという考え方は、様々な伝統産業でも大切だと感じる勉強会となりました。
(※1)「NFT」とは、Non Fungible Token(ノンファンジブル・トークン)のことであり、代替が不可能なブロックチェーン上で発行されたトークンのことを指します。