山梨県南都留郡に本社を構える、山崎織物株式会社。絹織物生産で創業し、シルクネクタイ生地のOEM生産を主業としてきました。
同社は、業界内で中継ぎ業者のカットを先駆け、古い商習慣を変革。服の裏地や洋傘地生産から事業転換し、略礼服としての白ネクタイ事業がヒットし、日本一となりました。
しかし関税が撤廃されてからはアジア企業との競争にさらされます。加えて、「得意先からのコストダウン圧力」「ファッションの変化」「クールビズ定着による需要低下」と苦境に立たされます。
同業者が次々と時代に淘汰される中、4代目博之社長は、「嗜好品としての国内需要はむしろ高まっている」と見込み、ネクタイに「和の文化」や「伝統デザイン」を採用した独自商品の開発に注力。
低コストで大量生産された製品との差別化を図りました。また「得意先1社の受注は、会社全体の売上の3割まで」と定め、リスク分散も徹底しています。
美濃和紙を利用した製品や、独特の風合い・光沢・色柄の高級絹製品などが特徴的な現在の山崎織物。「技術の転用で新製品を生み出す」発想は、業種を問わず活かせると感じる勉強会となりました。